今井次郎(敬称略)に会ったのは

1979年の秋で、多分 PUNGOの練習をするからということで、目白の駅で待ち合わせをした。あるいは直接落ち合ったメンバーが今井くんの家、今井くんの部屋に向かったかもしれない
目白で降りたのは初めてだったと思うし、関東が地元って人たちと知り合ったのも初めてだったと思う。(虫プロが近所に有って、子供の頃手塚治虫にサインをもらったなんて聞くと、東京の子は違うなー、としか思えなかった)今井くんのご母堂が実に優しく迎えてくださって、逆に面食らったのを覚えている
当時からの癖で今井くん今井くんと読んでしまうのだが、今井くんは、ぼく、ゆり子、篠田、石渡なんかより六っつも歳上で、二十歳そこそこの鼻っ柱だけは強いメンバーがまとまったのは、ひとえに今井くんの力だと、今になってみるとよくわかる。自分が二十代後半に差し掛かった時、生意気な小僧達と対等に付き合う難しさは、初めて経験した
今井くんだけがベースであとは全員が太鼓と声、というアンサンブルが初期の(ったってほんの一年くらいしか続かなかったバンドなのだが)PUNGOには多かった。マイナー閉店時に、店のドラムを今井くんが買い取ったと聞いている。ベースが二本という曲もあった、今井くんのベースをベースに、石渡がリードベースを弾いた。そんな編成が有りなんて、初めて知ることだった。
今井くんの部屋で、例えばそんな練習を繰り返していたのであるから、実に恵まれた環境だったのに加えて、とても背の低いアップライトピアノとか、あまり他所で見たことがない楽器(含む楽器でないもの)も実に沢山あった。そういう少しジャンクかもしれないものも自分のところに集めておくことを自分の責任だと思っているようなところがあったなぁ。と思い出す。
ウクレレをちゃんと弾き歌う人に会ったのも今井次郎が初めてだった。それはウクレレが弾き語られることが普通でウクレレシンガー&プレイヤーがたくさんいて当たり前な昨今とは違って、牧伸二くらいしかウクレレ弾く人は知られてない頃、十分珍しく、どちらかと言えばいびつな演奏行為だった。
後にソロで、バスドラを踏み、自転車のベルやクラクションを数種類鳴らしながら、ウクレレで歌うというようなことを聴かせてくれた今井くんの演奏。それは、小器用という者からは程遠い、たどたどしいものであった。けれど、だからこそ一つ一つの音は切実で、必要不可欠なものだとはっきりわかり、奇をてらうのではなく、かけがえのないとても強烈なものだったのだ。
今回のコンサートの、質の異なる出演者の顔ぶれから、彼の多才さーひとの中の眠っている何かを引き起こす喚起力ーがわかると思う
例えばぼくにとっては、ゆり子と今井くんとがPUNGO以前に作っていた「陽だまりハンモックス」のレパートリーで「東京の空の下」(灰田勝彦のカバー)を80年頃に聴かせてもらった事が、その後の日本語の歌を考えることの一つの基準になっている。その後の、「昭和歌謡」の再評価なんて言われる遥か以前の話だ
すきすきスウィッチでは3分以下の寸法のメジャーの曲に知ってる限りの分数コードを詰め込むようにして演奏を組み立てていたので、PUNGOでの少ないコードが延々と繰り返されるある種のファンクに随分頭を揺すぶられたのも同じ頃だ

「ミドルエイジクレイジーラブ」もPUNGOでも演った事があるはずだし、すナマきのレパートリーでもあるけれど、こんな視点の歌を二十代中盤で作っていたのだな、と妙に感心する(「薬師丸ひろ子が好きっ!」という本にこの曲の楽譜が載ってたのは、どういう経緯なのか今でも分からない)
「リハビリテーションソング」は「時々自動」の音楽部門(と当時は聞いた覚えがある)「水道大平和」のライブで聴いた。
「ありうべきアリス」今井くんが詩人の詩に(勝手に)曲をつけたものシリーズのひとつ。矢川澄子の詩。他にも、長谷川四郎のものに曲をつけた佳曲が多数ある。(PUNGOでライブにかけた事があるのだけれど、どうもはっきりとした寸法が思い出せない。でも、なんとか演ってみる)
「忘れてもいいよ」はぼくの作だが、すきすきスウィッチで2013年に再録した時、中間部の語りを今井くんの口癖風「四通りある」に変更した。時々自動の「ローテクコンベンション金メダル」で今井くんが「流浪の民」をテーマにしたラップ(というよりは新聞詠みの口調)してくれたのが、頭にあったのが確か。

今井くんと会えなくなってからもう5年以上経つのだけれど、いつまで経っても、最近会ってないなぁ、という気しかしない。頭ではわかっていても。それはどうも残してくれたこと達が、勝手に息づいてしまってるからだと、いつも思う。

https://imai-jiro-behappy.jimdo.com

【開催日時・場所】

2018年2月22日(木)

OPEN 18:00 START 19:00

吉祥寺 STAR PINE’S CAFE

武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1

 

【チケット】

前売り 3500円 + 1drink

当日  4000円 + 1drink

【出演者】

Aujourd’hui il fait beau(今井次郎 河崎 純 国広和毅

佐藤幸雄とわたしたち(佐藤幸雄 POP鈴木)

ダた(国広和毅 河崎 純 小林武文 斎藤丈二

テニスコーツ

時々自動

とんぷくユニット

(向島ゆり子 近藤達郎 久下惠生 いしかわともこ)

ユニ・マルカ(柴田 暦 河崎 純)

石川浩司  ※映像出演

 

 


今井次郎(敬称略)に会ったのは」への3件のフィードバック

  1. 今井次郎トリビュートライブ、お疲れ様でした!ますます研ぎ澄まされて強く、なのに誰も排除しない「わたしたち」さんの演奏。オリジナル曲なのに次郎さんが見えるな、人と人が関わりあうってこんなに深い事なんだな、と。本当に聞けてよかったです。

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    1. 演奏曲目は
      1・リハビリテーション・ソング (詞曲:今井次郎)
      2・ミドルエイジクレイジーラブ (詞曲:今井次郎)
      3・忘れてもいいよ(この曲だけ詞曲:佐藤幸雄)中間部の語りは今井くんの口癖風に
      4・アラブのアリス(詞:矢川澄子 曲:今井次郎)とても長い曲の最初のところだけ
      つい、素早く転換し、語りもせずに曲だけ演って終わらせてしまいましたので、ぼくと今井くんとの関係があまりよくわからなかった方々が大半だったのでは、と反省。あまり演奏される機会のない次郎さんの曲だという説明は必要でしたね
      コメント有り難うございます

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  2. コメントのコメント、お忙しい中ありがとうございます。一曲目、二曲目は次郎さんの曲としてとても有名なので、あのライブでは説明はいりませんよね。「素早い展開」が、かえってとてもよかったと思います。私のコメントで「オリジナルなのに次郎さんが見えるな」と書いたのは、「忘れてもいいよ」の事です。つたない文章で反省。それにしても、映画ができるの、楽しみですねー!

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